157.古代中国の「正官と正財」と現在に至る中央集権システム

西洋にもホロスコープという「占星術」があるように、中国にも昔から「占星術」というものがあります。そもそも中国の占星術というのは、古代から歴代の皇帝のための占いであったわけです。

このように、これまで様々な占いなどが今でも存在しており、時代を経て庶民も「占い」の対象になっていきました。とはいえ、最強の占術モデルは「正官と正財」というシステムではないかと思うわけです。

その昔、皇帝に仕える家臣の最高位から最低クラスまで、官吏の星が「正官」であり、強い正官の星を持つ人物は皇帝にとって有用な人物と見なされ、皇帝お抱えの占い師はどの人材を主要閣僚に就けるかを占ったとされています。

一方の「正財」は、家臣の位と連動する禄ということで、正財の星を持つ者は皇帝の財産から禄を受け取る者のことを意味しました。つまり、禄とは「税金」のことです。

さらに、「正官と正財」のバランスが良く、その他にも忠誠心や勇猛果敢な星、あるいは人気者などを総合的に判断して重要閣僚を選んでいきました。なぜなら、これを間違えると、裏切り者や能力が高過ぎて皇帝をないがしろにする者が権勢を牛耳ってしまう可能性があったからです。

今から2000年前以上の前に今の中国で勃興した「秦の始皇帝」を筆頭として、初代皇帝は驚異的な気力でのし上がる特徴があり、戦争の天才で自ら戦陣を切る勇猛果敢な人物であることがほとんどであったわけです。そんな姿を見た家臣たちは皇帝に命を預ける覚悟を決めていました。

同じくビジネスの商才に長け、金銀財宝をかき集め、それを惜しげもなく家臣たちに分配するという人物も同じように、いつの時代でも秘密裏に莫大な財宝を隠していることが明らかになっています。だから、庶民もある意味、勢いだけで国は繁栄することになりましたが、問題は跡継ぎでした。

そこで初代皇帝は、お抱えの専門家や妃、従者、重臣や軍師の鑑定をさせ、最強の星を持つ初代皇帝は二代目、三代目の先まで読み切って布石を打つことを考えるようになりました。ところが、二代目はたいてい怠け者で、三代目は酒色で身を滅ぼしたとなれば、占術によって家臣を二重、三重に配し、妃や側室も国中から選ぶことになったということです。

しかし、初代皇帝が崩御すれば全てが終わり、その代りにお抱えの占星術師が陰謀の中心人物となりました。占星術師は、皇帝の布陣の隅から隅まで熟知していたようです。つまり、どこをつつけば薮から蛇が出てくるか知りつくしていたというわけです。

古今東西、洋の東西を問わず、正しく歴史を振り返ってみると、占星術師ほど過酷な職業はありませんでした。それは、重要な占いを皇帝に告げたあと、ほぼ例外なくこれまで一人残らず処刑されてきたということです。

実際に、そのような繰り返しをつい最近の清朝まで経験したことで皇帝(王政)制度は完全に衰退していきました。ところが、軍政であっても民主主義議会制に代わったところで、現在の日本の状況は驚くほど変わり映えしていません。

それはなぜかと言えば、中国式の官僚制度に代表される「正官と正財」の呪縛が21世紀の日本にも根強く残っているからです。いわゆる一流進学校から一流大学、さらに官僚エリートコースか大企業のエリートコースなら「官僚になれ」と、世の親たちは未だに自らの業状も顧みず、我が子を正官コースへ乗せたがります。

一方、対極である高卒者や三流大学卒業者は、このようなエリートコースとは無縁の職業につくしかないわけです。つまり、官吏以外は有象無象扱いになっているということです。

結局、「正官と正財」というのは、その時の権力構造と連動しており、彼らは生涯にわたりお金に困ることはなく、現に日本の公務員年収は庶民平均の倍近くもあり、退職後の保証も手厚いのは誰でも知っていることです。

さて、長年私が主張してやまない中央集権と中央銀行の解体を本当に行われるのであれば、中国の占星術というのはいよいよ20世紀を最後に無用の占術となるはずです。中国式の官僚制度は地球上から消滅し、もはや親は子どもを官僚にしようとは思わなくなるのは明らかです。

いずれにしても、官僚や公務員というのは、給料は高いですが、人間らしい生き方ができない可能性が高い職業でることからも、我が子にはできるだけ就かせたくない職業ではあります。

今後、あらゆる仕組みが生命環境優先となる近未来では、公共に貢献する人だけに公金が手厚く分配されることになる可能性があります。とはいえ、税金の意味は現在とは違い、行き着く先で紙幣は無用になる見込みです。

元を辿れば、シュメール文明よりももっと前か、占星術は当時の最先端科学であったとはいえ、その頃の人類は現在とは違い、精神性が高かったことに疑いの余地はありません。つまり、自らの構成要素を熟知していたということです。

それを現在のような動物の霊が宿るようになった低レベルの人間に信用創造を教えたことによって、いつの間にか三次元に特化した体系に変化し、それが中国に渡って皇帝支配の道具になって今に至ると考えられます。

そもそも昨今の日本の政治家や官僚たちについて考えてみると、彼らは本当に「正官と正財」の星を持って生まれた人なのでしょうか?

結局、安倍政権のように出世すればするほど、上に行けば行くほど「嘘つきの星」に生まれていることが分かるはずです。

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