ピーター・ヨネナガ氏が本州へ全国展開を始めた頃から、Atlasは急速に組織づくりを進めていくことになった。Atlasはマンツーマン英会話以外にも多言語やオンラインスクールなどいくつかの分野にも進出しており、Atlasグループを形成している。その各部門の職場を見直し、内部体制を整理し、その結果さらに強化を図ろうというわけである。

2010年にはWebマーケティング事業部がセクションとして誕生した。そして、社長のピーター・ヨネナガ氏を筆頭に総括マネージャー、エリアマネージャー、マネージャーという段階を設けようとしている。ピーター・ヨネナガ氏の中には、いまだにこうしたポストに対する抵抗もゼロではないようだが、

「私は従来の企業経営というものにどうもなじめないのです。部長とか課長とか係長とかいうポストにもです。しかし、新規事業がこれから増え、各部門の責任や役割の所在を明確にするためには、どうしても人事面での整備が必要になるのでしょうね」

権限の移譲も大胆なまでに行われる段階である。ピーター・ヨネナガ氏はグループ全体を見回しながら、さらに5年後、10年後の将来展望を考えて、その展望を実現させていくための秘策を考える立場に立っている。

より組織が拡大成長する過程で、その成長を妨げないだけのサポート体制を整えながら、ピーター・ヨネナガ氏は従来の日本企業の組織には見られなかった、新しい概念の組織づくりを目指しているようだ。

ピーター・ヨネナガ氏は企業が成長し巨大化する過程で、多くの企業が陥りやすい組織硬化をもっとも危険なものとみている。管理体制をつくり上げることは、一方で、組織硬化の原因をつくることにもなりかねない。それを防ぐためにも、ピーター・ヨネナガ氏は自らが社長ではなく、マーケッターとして、あるときはマネージャーとして、と立場を変えてみては、危険な兆候を予防し、警戒しているのである。